肩こりについて
肩こりに相当する英語はありません。だから英米人は肩こりとは無縁で、肩はこらないというのは大きな間違いです。「いただきます」や「ごちそうさま」に相当する英語がないのと同樣に、そういう気持ちや状態は存在しても表現方法がないと言うだけなのです。ちなみに昔は日本語にも肩こりという表現はありませんでした。「肩が凝る」という言葉を初めて使い命名したのは夏目漱石とされています。
肩こりはなぜ起こるか、それは同じ姿勢をとり続けるなどして頭・腕を支える頸や肩の筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、板状筋、脊柱起立筋など)が硬くなり、局所に循環障害が起こるのが原因とされています。最近では筋膜に出来るシワ、癒着が肩こりの原因かもしれないと言う説も出てきました。当院では硬くなってすべりが悪くなった筋膜に、エコー下で細い針を使って注射を行う治療も可能になっています(筋膜リリース)。しかし、牽引、鍼灸、マッサージ、注射、内服薬、湿布で肩こりは治りません。その時に癒されるだけなのです。
それではどうやって肩こりを治すか、それには正しい姿勢を作る訓練と適切な運動が必須です。肩こりと腰痛は密接に関係していると言われます。背中側の筋肉とお腹側の筋肉のバランスが悪いから肩こりと腰痛が起こるのです。猫背でいると腰だけでなく頸にも負担がかかります(下図)。だからと言って背筋を伸ばしてみたところで5分もすれば忘れて元の猫背に戻ってしまうのが普通。それではどうしたらよいか? リハビリで姿勢の作り方をしっかり習って実践すれば、肩こりや腰痛は今よりも格段に楽になってくることでしょう。